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■ SPEED FLAT 2017 AXIS GALLERY
 デザイナーで多摩美術大学教授でもある、藤原 大氏を中心に活動している研究団体が、デザインの未来を展望するプロジェクトとして、「SPEED FLAT 2017」展を、六本木アクシスギャラリーで、12月6日(水)〜1210日(日)まで開催しました。作品の展示でキイヤ製のトルソが使われました。

未来のものづくりのあり方を考えるプロジェクト「SPEED FLAT 2017」は、製法や工程、またはテーマインスピレーションから、素早くモノを創造することを産学で研究する取り組みです。

 金沢美術工芸大学、首都大学東京、多摩美術大学、法政大学の各研究団体がそれぞれ設定したテーマでプレゼンテーションを展示しました。

キイヤ製のトルソは、多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイル専攻の学生のみなさんの作品と、金沢美術工芸大学ファッションデザインコース大学院・ファッションデザイン造形表現科目学部SP研究会の学生のみなさんの作品の展示で使われました。

 

各団体のプレゼンテーションのテーマは下記の通りです。

テーマに沿って学生の皆さんの力作が展示されました。

 

「縫うの先」

多摩美術大学生産デザイン学科プロダクト専攻

SPEEDYに生産できること、FLAT(平面体)から展開できることは、時間短縮、運搬収納性、自動生産といった様々な側面から新しいモノの可能性を創るだろう。FLAT(平面体)3Dに立ち上げる際には、接合が1つの大事なファクターになる。SPEED FLATの思考を拡げていく、可能性や領域を考えていく切り口として「縫うの先」という副題を設定し、加工/接合方法の探求を行っている。研究の成果FURNITUREを主としたアイテムに展開した。

「孫ヲ想フ」

金沢美術工芸大学ファッションデザインコース大学院・ファッションデザイン造形表現科目

(ファッション)学部 SP研究会

50年後の未来を舞台とするSPEED FLAT において、「孫ヲ想フ」という副題を設定し、自分たちの孫に贈るものづくりを提案する。未来に継承したいものをアイテムやシステムに落とし込み、自分たちの孫に伝えたい想いをSPEED FLATに乗せて届ける。

今、大学生である自分の孫に贈る七五三の衣装を、50年後に思いを馳せたデザインが「簡単装着仕立て」として展示されました。

右側にいる3人の子どもたち、真ん中の5歳の子どもはお祝いの袴衣装を着せてもらっています。袴姿の衣装が1、2アクションで簡単に着られる仕立てになっています。手前の3歳の子どもの衣装も同じく1、2アクションで着られます。奥で後ろ向きにかわいい帯を見せている振袖姿の7歳の女の子の衣装は1、2、3アクションで着せつけ完了できるようになっています。子供の祝い事と日本の伝統衣装が50年という時空を超えて伝えられた様子がイメージされていて、もっと他のデザインも見たくなったテーマでした。



A4」

首都大学東京 システムデザイン学部

コンビニエンスストアで購入できるような日常見慣れた商品を、内容量を変えずに「A4」サイズにしてみたら、きっとそれらの多くは薄くなり、そしてフラットになるだろう。もしかしたらそのことで我々の生活にちょっとした変化が起きるのではないか、我々はそのような小さな問いかけをデザインの糸口にしてみた。お湯を入れて3分ほど待つインスタント食材の待ち時間は短くなるのかな?カレーのルーが薄くなれば新たなレシピが増えるかな?乾いたような食感のある商品の食べ心地は変わるかな?商品を包むラップやホイルの使い方が変わるかな?我々が抱いているモノへの観念を、サイズを変えてみることだけで、一旦フラットにしてみることが我々の目指すところである。 

 

「拡張する照明」

法政大学デザイン工学部システムデザイン学科

コンパクトなサイズから一瞬にして拡張し空間を占める、あるいは空間をつくる構造と、その転用を考える。既存の器物で用いられる拡張構造の発展、拡大すれば建築サイズにも転用できるような構造を視野に入れつつ、新たな照明器具へと展開する。照明器具はイサムノグチの「AKARI」やブルーノムナーリ「Falkland」の昔より、フラットパックから巨大な光る物体へと展開する拡張構造が模索されてきた。製造や輸送に対する考察とともに、小さな物体を素早く拡張し、魅力に満ちた造形物として立ちあげることを試みている。

 

paper clothing3rd

多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイル専攻

テキスタイルデザインの立ち位置から服を見つめる。街中で手軽に買えるTシャツは30年後にはどうやって作られているのだろうか?繊維分野が誘導した産業革命は、新たなページをまた用意しているようだ。テキスタイルデザインを展望するために学生が自分の30年後を想像し、調査̶考察̶統合̶テキスタイルデザインーモデリングを行い、トルソオブジェではなく人が着る服の提案として、多摩美テキでは初めてとなる学内ウォーキングプレゼンテーション「歩くプレゼンテーション」を行った。

美術大学ならではのプロセスを経てたどり着いた、作品の持つデザイン性が、普段接しているファッションデザインとは一線を画していてとても興味深い展示でした。

SPEED FLAT展は2018年も引き続き活動を継続し、さらに大きな展覧会の規模に発展させていく計画があるそうです。

若くて新鮮な発想のデザインが放つ、熱い思いのようなものを、無機的だが、布を張った温かみのあるボディがそっと受け止めて控えめに佇んでいる展示会のスペースは、商空間の喧騒とは異質の空間でした。これからも皆さんの活動をサポートしていきます。

201712

 

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