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■ 裁断用ボディのエスプリ
裁断用ボディとは、服作りに使われる「人台」のことです。人台は服作りの基本としてヨーロッパでは13世紀ごろから現在も使用されています。日本では、明治時代にすでに人台でドレーピング的な事を行って服が作られていたようですが、平面裁断の普及により服作りの表舞台からは遠ざけられていたようです。1950年代中頃までアメリカの占領下にあったとはいえ、婦人服の世界の人たちはモードの中心はパリだという事を知っていました。そして多くの人々がパリを目指しました。パリを目指した人々は、パリのオートクチュールのアトリエなどで一般的に行われている裁断方法(服の型紙を作る方法)を目の当たりにして衝撃を受けました。1956年にクリスチャンディオールが来日し、「人台」にトワルをあてて立体裁断を実演しました。立体裁断用ボディの登場です。女性の身体の形をしたボディに布地をあてながら裁断していくと洋服が出来上がる・・体裁断<ドレーピング>に関してはこちらへ
写真はベルリンファッション芸術大学AMDの近藤先生がヨーロッパサイズの裁断用ボディシュプールを使ってドレーピングしている様子です。

■ 服のルックスばかりでなく、「作り」も知りたいお客様へ
ドラマティックなウインドウはボディのディスプレイの得意分野ではないかもしれません
お客様にその商品の何をお伝えしたいか、それによってはボディによってとても信頼のおける有効な演出効果を得られます。
鏡に映して見る事の出来ない後ろ衿首や背中の表情など、価値のある服を選ぼうとするお客様は、服のルックスばかりではなく、着心地や素材も精査しています。裏生地の始末や内ポケットなど造り込まれた服は、お客様の身体に着せて、着心地を確認し、再びボディに着せて服の作りを見定めて、素材を吟味するというプロセスが必要でしょう。

■ 商品が作られたプロセスに敬意を表す
既成服であろうと、オーダーメイドであろうと、糸が生地になり、生地から数多くのプロセスを経てようやく店頭までたどり着いた商品。
何とか、お客様にご購入していただき、お客様のクローゼットに入れてもらいたい思いをディスプレイの演出でお伝えしたいものです。
衿がしっくりと首筋に吸いつくように着せつけてあれば、お客様は、着心地の良さを知らずと受け止める事が出来ます。
地の目線が正確に通っていれば、服はきれいにハングして、ずっと長く着られる商品だという事がわかってもらえます。
キイヤのボディは静かに、商品の価値をお客様にお伝えいたします。

既成服のドレーピングテクニックは人の身体が左右対称であることを前提に行われるということがあり、使われるボディもまた左右対称に出来ていなくてはなりません。また、身体の厚みや幅、プロポーションなど、人の身体に美しく纏われる服を作るために長きにわたって人台のサイズとフォルムに関して多くの人たちが研究を重ねてきた結果がキイヤのボディに凝縮されていると言っても過言ではありません。

もともと、服作りのプロセスに置いて、「人台」は、このまま進めてよいかどうかを見極めるために仮縫いのプロセスで、仕掛かりの服を着せては修正し、また、着せる、その繰り返しをするための道具です。最後に出来上がった服を人台に着せると、地の目が整えられた裁断と、いせと伸ばしが正確に施されている服は、きれいにハングする事になっております。服の作りの善し悪しというのをボディは意外に簡単にあぶり出すのです。

余りにも昔の話しになってしまいますが、衣服を洋装店さんが注文を受けてお作りしていたころは、服を作るときのボディも、陳列するときのボディも同じでした。キイヤは、服作りの世界とかれこれ、90年以上お付き合いしながら、日本人の身体に合うボディを作り続けてまいりました。日本のファッションの産業の先駆者の皆様の並々ならぬ御尽力で完成し、現在でも多くのお客様にご利用頂いているのが、上の写真の10型の婦人用裁断ボディです。
これらを、40年ほど前に、張り子から発泡スチロールにしました。手張りの張り子から機械成型のスチロールに素材を変えたのは、量産できる事もさることながら、より、正確にボディを作る事が出来るという事が第一の理由です。ボディが正確でなければ、服の作りの土台が揺るぐからです。
さて、これらのボディが、このサイトで取り扱う製品の基本型となっております。

■ 「服の作り」と「着心地」の演出は正確なキイヤのボディにおまかせください
人は漠然とモノを見ているようで、しっかり、100ミリと101ミリの違いを見分けています。
ファッションは一ミリの長さの違いの積み重ねで
人それぞれの世界を築く、
ディテールとトータル、ミクロとマクロのマジックですね。
だからこそ、キイヤは、ディテールのクオリティをどこよりも大切にしています。

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